和の世界は終わる日記
サンジスキーの管理人、ゾロの扱いが酷くてすみません。 読者様参加型小ネタやってます。カテゴリ「参加型小ネタ」よりどうぞ。
バレンタイン小(?)ネタ
- 2005/02/14 (Mon) |
- 小ネタ |
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剣豪がビックリするくらいヘタレで(和にしては)ビックリするくらいゲロ甘です。大丈夫な方だけどうぞ!!
ステキアイコンカレイドスコープ様vv
夜のみかん畑に寝転がって、ロロノア・ゾロは絶好調に不機嫌だった。
数日前から左奥歯に感じていた違和感が、今朝になってずくずという鈍痛に変わっていた。チョッパーに診てもらうと、親知らずが生えてきているとのこと。
そんなら抜いちまえと口の中に指を突っ込んだゾロを、チョッパーが慌てて止めた。キレイに上向きで生えてきているから、無理に抜くのは止めておけ、と。
「どうしても抜きたいんだったら、明日には次の港に着くから一緒に歯医者に行こう。オレは歯は専門じゃないし、ここには道具がないんだ。歯の噛み合わせっていうのはとってもとっても大事なんだ。内臓器官にも影響してくるんだ。ゾロは口に刀を咥えるし、もっと強くなるんだろ?だったらもっとそういうことにも気を使わなきゃダメだ」
マジメな船医に怒られ、
「チョッパー、クソ剣士はなあ、痛いのが我慢できねェんだとよ」
などとコックにまで言われてしまい、「我慢できねェわけねェだろ!!」と、結局歯は明日まで弄れないことになってしまった。
朝食、昼食はなんとか食べることが出来たが、昼過ぎから歯は本格的に痛み出し、斬られたり刺されたりの外からの痛みには慣れているゾロも、内からの痛みはあまり経験がなく、神経をぐわしと掴まれてごいごい揺さぶられるような疼痛には閉口した。
折りしも今日はバレンタイン。
この船に乗るまでゾロは、バレンタインというのはみんなでその年の恵方を向いてチョコレートを丸齧りする行事だと思っていた。コックにそう言ったらすかさず蹴りが飛んできた。
「アホか!!バレンタインは愛の日だよ、あ・い・の・ひ!!」
数日前からコックは張り切って準備をしていて、昼食後からキッチンからは甘い匂いが漂ってきていて、ルフィなどは口の端からよだれが止め処なく流れっ放しだ。
実は、ゾロも楽しみにしていた。何故なら自分とコックがお付き合いもどき(爆笑)を始めて初めてのバレンタインだから。お互い気持ちを確かめあったわけではないが、何度か肌は重ねていたし、自分は間違いなくコックに惚れている。
「あ~楽しみサンジ君のチョコvvこの前の港で良い製菓用チョコ仕入れてたの知ってるのよねーvvうふふvv」
デッキチェアーで微笑むナミに、釣りをしていたウソップが生温かい視線を送り呟く。
「ていうか、バレンタインは女から男にチョコ渡す行事じゃねェのかよ……。なんでサンジが独りでチョコ作ってたんだ……?」
「聞こえてるわよウソップ。何?バレンタインは愛の日よ?好きな人に愛を告げる日。女が男にチョコを渡さなきゃいけないなんて法律でもあるの?どうなの?」
「すいませんでした……」
口でナミに勝てるわけがない。項垂れるウソップにナミが止めの一言。
「全く、カヤからチョコが送られてこないからってあたらないで欲しいわ」
「それを言うなおまえーーー!!!」
ウソップが泣き喚いた所でラウンジのドアがバーンと開いた。
「ナーミすわぁ~~んvvロッビンちゅわぁ~~んvvこのオレの溢れる愛を召し上がってくだすぁ~~いい!!!」
「うおおおおーーー!!待ってたぞサンジィィィィィ~~~!!!」
「チョ、チョコーーー!!」
「きゃーvv」
ラウンジに向かってきた年少組をまずはキレイに蹴り飛ばし、サンジは優雅な所作で前方甲板にやって来ると、既に席に着いているナミとロビンの前に、美しく可愛らしくデコレーションされたショコラとチョコレートケーキの皿とコーヒーをセットする。
「ボクの愛を召し上がれ~vv」
「いだきまーすvv」
「いただくわ、コックさん」
レディがゆっくりとフォークでショコラを口に運ぶのを、サンジはにこにこデレデレと、男共は目を血走らせて見ていた。ナミとロビンが一瞬目を見張り、次の瞬間とろける様な笑みを見せる。
「……んんん~~vv美味しい~~~vv」
「ほんと美味しいわ。流石ねコックさん」
「しーーあーーわーーせーー!!!!」
海に向かって絶叫するサンジに、これ以上は待てんとルフィが悲痛に吼える。
「サァンジィーーーー!!!」
「よし!!野郎共も食ってよし!!」
うおおおおおと雄叫びを上げながらラウンジに飛び込んでいくルフィたちの後を、ゆっくりとゾロも追った。ちょっと足取りがウキウキしている。
キッチンでは恐ろしい光景が繰り広げられていた。争いからもれ、自分の所に飛んできたトリュフを上手いことキャッチし、マジマジと見つめる。自分(達)のためにコックが作ったチョコ。ゾロはにや~んと笑うとぱかりと大口を開け、トリュフを放り込むと勢い良く噛み締めた。
脳天まで突き抜ける激痛。
それからはもう散々だった。
口を閉じることが出来ず、おたふくのように膨れ上がったゾロの左ほっぺたにルフィが爆笑し、チョッパーが慌てた。野郎共の様子を見に来たサンジもゾロの頬を見るとぎょっとし、しかし次の瞬間にはニヤニヤと笑い、ほっぺたを触ろうとしてチョッパーに怒られた。その間にルフィとウソップは残りのチョコをキレイに胃袋に収めてしまった。
「うめー!!すげェ美味かったぞサンジ!!やっぱりサンジをオレのコックにして良かったーー!!サンジ好きだーー!!」
「美味かったぜサンジーー!!」
「うわ、抱きつくな気色わりィ!!」
腰に巻きついてきたルフィとウソップを押しのけようとしながらも、美味いと言われたのが嬉しかったのか、サンジの顔は笑っていた。
最悪の気分だった。
(その後、ウソップにはちゃんとカヤからのチョコが届いたし、ビビからも全員分のチョコが送られてきてコックはメロメロしていた)
夜空を見上げてゾロはふうとため息を吐いた。チョッパーから痛み止めをもらったお陰で痛みは随分と楽になったものの、ほっぺたがじんじんと熱い。
勿論夕食は食べられなかった。「要らねェ」と告げた瞬間へにょりとサンジの眉が下がったので、慌てて「食えねェ」と言い直した。「じゃあやわこい鍋焼きうどん作ってやる」と言われたが断った。
それでゾロは今、ひとりでみかん畑に寝そべっている。
春島が近いのか昼間はあったかかったが、夜は冷え込む。
いや、心が寒いのかもしれない。
実はゾロは、密かに決めていたのだ。
イベントなどというものには全く興味がないが、バレンタインで張り切っているコックを見ていて思いついたのだ。
今日、コックのチョコを食べたらちゃんと顔を見て美味いと言おう。そして、きちんと好きだと告げようと。今日は愛の日なのだから。
なのに自分は、美味いと言うどころか、味すらわからないで。それに、ルフィが自分よりも先にサンジに好きだと言ったこともショックだった。他意があってのことではないとわかっちゃいるが、自分がなかなか言えないでいたことをあんな風にあっさりと。
しかもコックは嬉しそうだった。
本当に珍しく、ゾロは心の底から落ち込んでいた。ので、近づいてきた気配に気付くのが少し遅れた。
「なーにやってんだ?クソ剣士」
慌てて起き上がると、目の前でサンジが微笑んでいる。
「ほれ、これなら食えねェか?やわこく煮たんだぜ」
差し出されたフロフキ大根をゾロはぼけっと見つめた。
「ん?これも無理か?」
「チョコ……もうねェよな」
サンジが息を呑む気配がした。
「食いたかった」
そっと大根の器と箸を取り、柔らかく炊かれたフロフキ大根を右の奥歯でゆっくりと噛み締めた。歯に響かない様に少し冷ましてくれたのであろうダシがじわっと染み出してくる。いつもより味覚が鈍くなっているが、でも美味い。
そう言おうとしてサンジの顔を見て、ゾロはビックリした。
サンジの顔が耳まで真っ赤だ。ゾロが何か言う前に、サンジの方が口を開いた。
「あ、あ、あのなー……」
そっとポケットから取り出した箱を、サンジはゾロの目の前で開けて見せた。並んでいるのはチョコレートだった。目を見開くゾロに、サンジがぼそぼそと呟くように言う。
「てめェの分は、別に、作ったんだ。ほら、てめェは酒が好きだからな。これは、ブランデーと一緒にやると、うめェんだ。どうせなら美味く食って貰える方がいいと思って……!別に、てめェが特別ってわけじゃなくてだな……!」
呆けたままのゾロに、真っ赤な顔のままサンジはにっかりと笑った。
「だから、明日港についたらチョッパーとちゃんと歯医者に行って何とかしてもらって来い。そんでベストな状態でこのチョコを食え!!美味く食ってもらえる方がチョコも食われ冥利につきるってもんだ!!」
しかしゾロは、サンジが仕舞おうとしたチョコをさっとひとつ手に取った。そして口に入れようとする。
「お、おいゾロ!止めろ!また神経に障るぞ!」
「今食いてェ」
止めようと伸ばされた腕を逆に取ると、サンジが驚いたように自分を見た。
「今日、食いたいんだ」
じっと見つめると、サンジの顔がみるみる内に赤くなっていく。ゾロは自分の鼓動が凄い勢いで打ち出すのを感じた。
「……しょうがねェな」
サンジはゾロが手にしたチョコを取り、自分の口に放り込んだ。口の中でチョコ溶かしているようだ。
と、そっと引き寄せられた。唇が重なる。ゾロの背中を、ぞくぞくと何かが這い上がっていく。
差し出されたサンジの甘い舌に、夢中で自分の舌を絡める。
暫くそうして、二人でチョコを味わった。
チョコが溶けきった所で、サンジはゾロから離れた。
「……美味かったか?」
真っ赤な顔でにっこりと目の前で微笑まれ、ゾロは自分が泣くと思った。勿論美味いと答えようとして、口をついて出た言葉は。
「好きだ」
サンジの顔が、笑顔のまま固まる。
「好きだサンジ」
サンジの顔がぐしゃりと崩れた。そうして、もう一度、笑う。
「オレもだよクソ野郎」
ゾロは思い切り彼の細い体を抱きしめた。
「……ったく、早く言えよな!」
耳元でサンジが、可笑しそうに、しかし震える声で言うのに、ゾロは自分がおかしくなると思った。
チョコレートの、甘い香りに包まれて。
「……チョコ、もう一個食うか?」
からかうように言うサンジに、キスをすることでイエスと答えた。
ハッピーバレンタイン!!
ぐはあ!!何この人たち!!しかもこんなに長くなるはずじゃ……。

夜のみかん畑に寝転がって、ロロノア・ゾロは絶好調に不機嫌だった。
数日前から左奥歯に感じていた違和感が、今朝になってずくずという鈍痛に変わっていた。チョッパーに診てもらうと、親知らずが生えてきているとのこと。
そんなら抜いちまえと口の中に指を突っ込んだゾロを、チョッパーが慌てて止めた。キレイに上向きで生えてきているから、無理に抜くのは止めておけ、と。
「どうしても抜きたいんだったら、明日には次の港に着くから一緒に歯医者に行こう。オレは歯は専門じゃないし、ここには道具がないんだ。歯の噛み合わせっていうのはとってもとっても大事なんだ。内臓器官にも影響してくるんだ。ゾロは口に刀を咥えるし、もっと強くなるんだろ?だったらもっとそういうことにも気を使わなきゃダメだ」
マジメな船医に怒られ、
「チョッパー、クソ剣士はなあ、痛いのが我慢できねェんだとよ」
などとコックにまで言われてしまい、「我慢できねェわけねェだろ!!」と、結局歯は明日まで弄れないことになってしまった。
朝食、昼食はなんとか食べることが出来たが、昼過ぎから歯は本格的に痛み出し、斬られたり刺されたりの外からの痛みには慣れているゾロも、内からの痛みはあまり経験がなく、神経をぐわしと掴まれてごいごい揺さぶられるような疼痛には閉口した。
折りしも今日はバレンタイン。
この船に乗るまでゾロは、バレンタインというのはみんなでその年の恵方を向いてチョコレートを丸齧りする行事だと思っていた。コックにそう言ったらすかさず蹴りが飛んできた。
「アホか!!バレンタインは愛の日だよ、あ・い・の・ひ!!」
数日前からコックは張り切って準備をしていて、昼食後からキッチンからは甘い匂いが漂ってきていて、ルフィなどは口の端からよだれが止め処なく流れっ放しだ。
実は、ゾロも楽しみにしていた。何故なら自分とコックがお付き合いもどき(爆笑)を始めて初めてのバレンタインだから。お互い気持ちを確かめあったわけではないが、何度か肌は重ねていたし、自分は間違いなくコックに惚れている。
「あ~楽しみサンジ君のチョコvvこの前の港で良い製菓用チョコ仕入れてたの知ってるのよねーvvうふふvv」
デッキチェアーで微笑むナミに、釣りをしていたウソップが生温かい視線を送り呟く。
「ていうか、バレンタインは女から男にチョコ渡す行事じゃねェのかよ……。なんでサンジが独りでチョコ作ってたんだ……?」
「聞こえてるわよウソップ。何?バレンタインは愛の日よ?好きな人に愛を告げる日。女が男にチョコを渡さなきゃいけないなんて法律でもあるの?どうなの?」
「すいませんでした……」
口でナミに勝てるわけがない。項垂れるウソップにナミが止めの一言。
「全く、カヤからチョコが送られてこないからってあたらないで欲しいわ」
「それを言うなおまえーーー!!!」
ウソップが泣き喚いた所でラウンジのドアがバーンと開いた。
「ナーミすわぁ~~んvvロッビンちゅわぁ~~んvvこのオレの溢れる愛を召し上がってくだすぁ~~いい!!!」
「うおおおおーーー!!待ってたぞサンジィィィィィ~~~!!!」
「チョ、チョコーーー!!」
「きゃーvv」
ラウンジに向かってきた年少組をまずはキレイに蹴り飛ばし、サンジは優雅な所作で前方甲板にやって来ると、既に席に着いているナミとロビンの前に、美しく可愛らしくデコレーションされたショコラとチョコレートケーキの皿とコーヒーをセットする。
「ボクの愛を召し上がれ~vv」
「いだきまーすvv」
「いただくわ、コックさん」
レディがゆっくりとフォークでショコラを口に運ぶのを、サンジはにこにこデレデレと、男共は目を血走らせて見ていた。ナミとロビンが一瞬目を見張り、次の瞬間とろける様な笑みを見せる。
「……んんん~~vv美味しい~~~vv」
「ほんと美味しいわ。流石ねコックさん」
「しーーあーーわーーせーー!!!!」
海に向かって絶叫するサンジに、これ以上は待てんとルフィが悲痛に吼える。
「サァンジィーーーー!!!」
「よし!!野郎共も食ってよし!!」
うおおおおおと雄叫びを上げながらラウンジに飛び込んでいくルフィたちの後を、ゆっくりとゾロも追った。ちょっと足取りがウキウキしている。
キッチンでは恐ろしい光景が繰り広げられていた。争いからもれ、自分の所に飛んできたトリュフを上手いことキャッチし、マジマジと見つめる。自分(達)のためにコックが作ったチョコ。ゾロはにや~んと笑うとぱかりと大口を開け、トリュフを放り込むと勢い良く噛み締めた。
脳天まで突き抜ける激痛。
それからはもう散々だった。
口を閉じることが出来ず、おたふくのように膨れ上がったゾロの左ほっぺたにルフィが爆笑し、チョッパーが慌てた。野郎共の様子を見に来たサンジもゾロの頬を見るとぎょっとし、しかし次の瞬間にはニヤニヤと笑い、ほっぺたを触ろうとしてチョッパーに怒られた。その間にルフィとウソップは残りのチョコをキレイに胃袋に収めてしまった。
「うめー!!すげェ美味かったぞサンジ!!やっぱりサンジをオレのコックにして良かったーー!!サンジ好きだーー!!」
「美味かったぜサンジーー!!」
「うわ、抱きつくな気色わりィ!!」
腰に巻きついてきたルフィとウソップを押しのけようとしながらも、美味いと言われたのが嬉しかったのか、サンジの顔は笑っていた。
最悪の気分だった。
(その後、ウソップにはちゃんとカヤからのチョコが届いたし、ビビからも全員分のチョコが送られてきてコックはメロメロしていた)
夜空を見上げてゾロはふうとため息を吐いた。チョッパーから痛み止めをもらったお陰で痛みは随分と楽になったものの、ほっぺたがじんじんと熱い。
勿論夕食は食べられなかった。「要らねェ」と告げた瞬間へにょりとサンジの眉が下がったので、慌てて「食えねェ」と言い直した。「じゃあやわこい鍋焼きうどん作ってやる」と言われたが断った。
それでゾロは今、ひとりでみかん畑に寝そべっている。
春島が近いのか昼間はあったかかったが、夜は冷え込む。
いや、心が寒いのかもしれない。
実はゾロは、密かに決めていたのだ。
イベントなどというものには全く興味がないが、バレンタインで張り切っているコックを見ていて思いついたのだ。
今日、コックのチョコを食べたらちゃんと顔を見て美味いと言おう。そして、きちんと好きだと告げようと。今日は愛の日なのだから。
なのに自分は、美味いと言うどころか、味すらわからないで。それに、ルフィが自分よりも先にサンジに好きだと言ったこともショックだった。他意があってのことではないとわかっちゃいるが、自分がなかなか言えないでいたことをあんな風にあっさりと。
しかもコックは嬉しそうだった。
本当に珍しく、ゾロは心の底から落ち込んでいた。ので、近づいてきた気配に気付くのが少し遅れた。
「なーにやってんだ?クソ剣士」
慌てて起き上がると、目の前でサンジが微笑んでいる。
「ほれ、これなら食えねェか?やわこく煮たんだぜ」
差し出されたフロフキ大根をゾロはぼけっと見つめた。
「ん?これも無理か?」
「チョコ……もうねェよな」
サンジが息を呑む気配がした。
「食いたかった」
そっと大根の器と箸を取り、柔らかく炊かれたフロフキ大根を右の奥歯でゆっくりと噛み締めた。歯に響かない様に少し冷ましてくれたのであろうダシがじわっと染み出してくる。いつもより味覚が鈍くなっているが、でも美味い。
そう言おうとしてサンジの顔を見て、ゾロはビックリした。
サンジの顔が耳まで真っ赤だ。ゾロが何か言う前に、サンジの方が口を開いた。
「あ、あ、あのなー……」
そっとポケットから取り出した箱を、サンジはゾロの目の前で開けて見せた。並んでいるのはチョコレートだった。目を見開くゾロに、サンジがぼそぼそと呟くように言う。
「てめェの分は、別に、作ったんだ。ほら、てめェは酒が好きだからな。これは、ブランデーと一緒にやると、うめェんだ。どうせなら美味く食って貰える方がいいと思って……!別に、てめェが特別ってわけじゃなくてだな……!」
呆けたままのゾロに、真っ赤な顔のままサンジはにっかりと笑った。
「だから、明日港についたらチョッパーとちゃんと歯医者に行って何とかしてもらって来い。そんでベストな状態でこのチョコを食え!!美味く食ってもらえる方がチョコも食われ冥利につきるってもんだ!!」
しかしゾロは、サンジが仕舞おうとしたチョコをさっとひとつ手に取った。そして口に入れようとする。
「お、おいゾロ!止めろ!また神経に障るぞ!」
「今食いてェ」
止めようと伸ばされた腕を逆に取ると、サンジが驚いたように自分を見た。
「今日、食いたいんだ」
じっと見つめると、サンジの顔がみるみる内に赤くなっていく。ゾロは自分の鼓動が凄い勢いで打ち出すのを感じた。
「……しょうがねェな」
サンジはゾロが手にしたチョコを取り、自分の口に放り込んだ。口の中でチョコ溶かしているようだ。
と、そっと引き寄せられた。唇が重なる。ゾロの背中を、ぞくぞくと何かが這い上がっていく。
差し出されたサンジの甘い舌に、夢中で自分の舌を絡める。
暫くそうして、二人でチョコを味わった。
チョコが溶けきった所で、サンジはゾロから離れた。
「……美味かったか?」
真っ赤な顔でにっこりと目の前で微笑まれ、ゾロは自分が泣くと思った。勿論美味いと答えようとして、口をついて出た言葉は。
「好きだ」
サンジの顔が、笑顔のまま固まる。
「好きだサンジ」
サンジの顔がぐしゃりと崩れた。そうして、もう一度、笑う。
「オレもだよクソ野郎」
ゾロは思い切り彼の細い体を抱きしめた。
「……ったく、早く言えよな!」
耳元でサンジが、可笑しそうに、しかし震える声で言うのに、ゾロは自分がおかしくなると思った。
チョコレートの、甘い香りに包まれて。
「……チョコ、もう一個食うか?」
からかうように言うサンジに、キスをすることでイエスと答えた。
ハッピーバレンタイン!!
ぐはあ!!何この人たち!!しかもこんなに長くなるはずじゃ……。
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プロフィール
名前:
ノダ ワアヤ
性別:
女性
趣味:
趣味はサンジ!
自己紹介:
2次創作サイトの管理人の日記です。
間違って来られた方はどうぞお逃げになって!!
「ゾロサン」とか「ゾロサン」とか、聞きなれない単語が飛び交ってますよ!!
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