和の世界は終わる日記
サンジスキーの管理人、ゾロの扱いが酷くてすみません。 読者様参加型小ネタやってます。カテゴリ「参加型小ネタ」よりどうぞ。
ミニブタサンジ3
- 2007/07/12 (Thu) |
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「ではレディー達vv今日はお昼までここのやわらか牧草を堪能して下さ~いvv」
「「「「メェェェェェェェェ~~」」」」
羊たちがのそのそと散り散りになるのを、サンジは満足そうに確認してから、トットットっと牧場の隅っこに生えている木の根元に腰をかけた。
いつもここから羊たちのお食事タイムを拝見する。勿論気を配る事も忘れない。
(ああ、今日のたしぎちゃんはご機嫌だ。昨日はナミさんとこの馬のスモーカーが来てたからな……。恋する乙女は可愛いぜ~vv)
(テラコッタさん、草、食いすぎだな……。でもレディーにダイエット勧めるのもなんだしな……)
何匹か、サンジの目の届かない所まで行ってしまった羊もいるが、この牧場はきちんと囲いがされているので、レディー達が迷子になる心配は無い。
(迷子が心配なのはむしろあのクソ駄犬だぜっ)
サンジは、別の木陰でだらりと寝そべっているゾロをじろりと睨んだ。
なんとゾロは、犬の癖に、迷子の迷子の子猫ちゃんなのである。ちょっと遠い丘陵地で牧羊を行おうものなら行方不明、こちらが探し出さなければ二度とお会いすることはできません。
「それって犬として有り得ねェだろ!」とサンジは思うのだが、飼い主であるルフィが、ゾロのそういう犬らしくない型破り?な所を気に入っているのだからどうしようもない。
じゃあゾロがやる事をやらないのかと言うと、決してそうではない。やらなきゃいけない事だけは、やる。
しかし、羊のレディー達に対するゾロの態度は最低最悪だとサンジは思う。
トラックに載せる時、レディー達が行ってはいけない方へ行こうとする時、ダメ犬は羊の前にのっそりと回り込み、睨む。一瞬牙を見せて唸る。それに怯えたレディーが慌てて方向を変えるのだ。優しい言葉なんて一切かけない。そんな所が非常に気に食わないサンジが文句を言うと、小バカにしたようにはんっと鼻を鳴らす。ムカつく事山の如しだ。
(寝腐れ犬なんて、穀潰し以外の何ものでもねェ)
(その分オレがしっかり働かねェと!)
ふんふんっと鼻から勢い良く息を噴出。気合い充分だ。
ルフィには恩があるし、羊のレディー達に優しくし、守るのは男として当然だ。
(あんなクソ犬の世話にはならないぜ!)
どれ、駄犬の様子でも見てやるかと顔を向ければ、ゾロは腹と舌を出してまるっきりリラックスモードで寝そべっている。仕事する気ゼロだ。
そのゾロの腹には、斜めに走る大きな傷がある。
その傷は、牧場が狼に襲われた時、ここら辺で一番強いと有名な一匹狼ミホークと戦ってできたものだと、牝牛のミス・マンデーちゃんに教えてもらった。狼と一対一で戦って、大傷を作ったものの追い返すことに成功したのだと。
その時は、「あんなでっかい傷作るなんて弱っちい奴だぜ!」なんて思ったサンジだったが、数日後、ルフィに連れられ訪ねていった隣村の牧場で、狼に殺された羊達を見た。普段アホ面をさらしているルフィも、真剣な表情で隣村の牧場主と話し合っている。サンジはふらふらと、倒れる羊達に歩み寄った。たった一週間前に、遊びに行ったサンジと一緒に楽しく笑った羊達だった。
内臓を屠られ、喉笛を噛み切られている……。
生まれて初めて、心の底から震えが来た。怖い。
ゾロは、たったひとりで、獰猛な狼からルフィの羊を守ったのだ。
(……あいつは気に食わねェが。もしかしたらすげェヤツなのかもしんねェ)
実はちょっぴりそんな事を思うサンジだった。
その夜は、昼間のうららかさとは違い、春だと言うのにとても寒かった。
サンジは、寒いのが嫌いだ。あったかいものから引き離され、閉じ込められた冷たくて狭い箱を思い出す。
真っ暗な馬小屋の隅、他の動物達の寝息を感じながらも、サンジはぷるぷると震えた。積まれた藁の中に潜ってみるが、冷えた空気がサンジを飲み込もうとする。
あの時は分からなかった。これも、“怖い”っていうんだ。
(朝になれ)
(早く朝になれ)
いつもルフィが歌っているアホな歌を、サンジも頭の中で一生懸命歌う。
足音が近づいてきた。
(……?)
そっと眼を開けると、目の前に真っ黒な身体が。
「ひ!」
普段丸まっているサンジの尻尾がぴーんと立った。
と、どさりという振動の後、ふわりと、サンジはあったかいものに包まれた。
(……!!!!?)
小さなサンジの体を抱きこんでいるのは……ゾロだった。顔が近づいてくるのに狼狽していると。
「ひ!?」
べろりと。
鼻を、湿った大きな舌で舐められた。
そうしてゾロは、、サンジを抱き込んだまま前足に頭を乗せ眼を瞑ってしまった。
(な、な、何してんだコイツ……!?)
突然の事にパニックになり、蹴り飛ばそうにも体が動かない。
その内、すうすうという寝息が聞こえてきたので、ゾロが本当に寝ているかどうかそうっと体を伸ばして確認してみた。完全に熟睡モードだった。
(なんで、コイツ……)
(……寝ぼけてやがんのか?)
コイツも寒くて、オレを湯たんぽがわりにしてんのかな……。
じゃあなんで舐めるんだ……。
色々考えてしまうのだが。
(まあ、お互い様ってことで)
意を決して、ぴたりとゾロの体に身を寄せてみた。
(……あったけェ……)
体温の高いゾロの熱がサンジを温める。
とくとくと、規則正しい心音が聞こえる。
(……犬くせェ……)
これだから犬はイヤなんだ……。
とくとくと、重なるゾロと自分の心音に、サンジはうとうとする。
いつの間にか、サンジはゾロに体をすり寄せてぐっすりと眠り込んでいた。
つづく
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