和の世界は終わる日記
サンジスキーの管理人、ゾロの扱いが酷くてすみません。 読者様参加型小ネタやってます。カテゴリ「参加型小ネタ」よりどうぞ。
星に願いを。
- 2005/07/11 (Mon) |
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「さーさーのーはーさーらさらー♪ふーふーふーふーふーふーふー♪」
チョッパーが楽しそうに鼻歌を歌いながら、笹に短冊をつけている。
みかん畑に急遽出現した竹は、先日寄港した夏島で手に入れた物だった。7月中行われるという七夕祭りの真っ最中だったその島は、至る所に笹が飾られ色とりどりの短冊が揺れていた。
「笹に願い事を書いた短冊を飾ると、その願いが叶うんだぞ!」
クルー達にお手製の短冊を配りながらチョッパーが少し嬉しそうに言った。織姫様と彦星が願い事を叶えてくれるんだって。欲張ってたくさんお願いすると怒られるかもしれないからな、はい、ひとり一枚ずつ。
皆七夕の風習は知っていたし、飾ったところでどうなるものでもないということは分かっていたが、今までドラムしか知らずに育ち、他の島の風習に好奇心一杯の純粋な船医の為に、一筆認めたのであった。
これで空が晴れていればもっといいのだが、今日はうす曇。それでもチョッパーはご機嫌だった。
笹を飾りつけるなんて、クリスマスみたいだ!七夕は夏のクリスマスだ!
さわさわと、潮風で揺れる笹をチョッパーが満足げに見上げている所へ、サンジがチョッパーのオレンジジュースを持ってみかん畑に上がってきた。
「おう、すげェじゃねェかチョッパー」
「サンジ!笹、キレイになっただろー?ウソップが飾りを作ってくれたんだ!」
チョッパーがエッエッエッと笑う。
「短冊はオレが最後か?どれどれみんななんて書いたんだ?」
「あ、見るなよーサンジー!!」
止めようとするチョッパーをニヤニヤしながら軽く押さえ、サンジはまず目の前にあった短冊を手に取った。
『どんな病気でも治せる医者になれますように』
「もうっ!勝手に見るなよ!」
ちょっと赤くなって怒るチョッパーだったが、
「おー、こりゃいいお願いだ。きっと織姫様は叶えてくれる」
「そんなこと言われても嬉しくないぞこのヤロー!」
嬉しそうに踊っている。
サンジはそんなチョッパーにオレンジジュースを渡すと、早速咥えタバコでニヤニヤしながら他の短冊も検分し始めた。
ちょっと高い所にかけてあるオレンジ色の短冊。
『お金vv』
「うう~んvv現実的且つ堅実なナミさんがステキだ~vv」
なんだかやけにキラキラした飾りがついている短冊。
『勇敢な海の戦士になる!!』
「てめェは鼻が短くなるようにお願いした方がいいぞ長っ鼻」
薄紫色が艶やかな短冊。
『f;@p][ljdmj/\].[/hv\nVg[\.ds』
「…………………達筆すぎて読めないよロビンちゃ~んvvステキだ~~vv」
そして、やけにでかでかとした、赤い短冊。
「読まなくても分かるな。“海賊王に、オレはなる!!”だろ?」
裏返った短冊を、ひょいと戻して読む。
ルフィらしく、大きな字で紙一杯に。
『肉食い放題!!』
「……………」
そしてサンジは、やけに高い場所に飾ってある緑の短冊に目を留めた。チョッパーが気づいて声をかけてきた。
「ゾロの短冊だけは、オレじゃなくてゾロが自分でつけたんだ。一番高い所に飾るんだって」
「クソ剣士め、やけに本気じゃねェか……。あいつも大剣豪になりたいなんてお星様にお願いするタマじゃねェな。ルフィが“肉食い放題”なら……“酒飲み放題”ってとこか!」
サンジは軽くジャンプしてゾロの短冊を素早く取ると、ワクワクしながら覗き見た。
そこには、それはそれは立派な太い字で。
『コックの方からキスし』
皆まで読まずにサンジはゾロの短冊をマッハで破り捨てた。
そして紙くずとなった短冊を、海へと散らす。
さよならゾロのお願い事。
数十分後。
誰も居ないみかん畑にゾロがこそこそとやって来た。
「コックの野郎、なんて書きやがったんだ……?」
目の前でひらひら踊る短冊を、一枚一枚コックの字で書かれたものを探す。他のヤツらのお願い事なんてはっきり言ってどうでもいい。想像もつくし。
コックの短冊には、もしかしたら自分のことが書かれているかもしれない。だって自分もコックとのことをお願いしたのだから。
あいつは心配性だから、『ゾロが酒を呑みすぎて体を壊しませんように』とか書いているかもしれない。全く可愛いヤツだ。
『ゾロが大剣豪になりますように』なんて書かれてあったら、コックの肩を抱き寄せて「バカ野郎、星になんて願わなくても、オレァ大剣豪になる。信じろ」そう言ってやるつもりだ。そうすれば、コックは頬を赤らめてキスをしてくれる。自分の願いも叶うって寸法だ!!うわはははは!!
内心ひとりで盛り上がりながら、ゾロは青い短冊を手にした。
にこにこしながら短冊を覗き見る。
書かれていた願いは。
『ルフィが盗み食いを止めますように』
「……………ルフィかよ!!!」
全身全霊をかけてつっこんだ。
ショックを受けたゾロは、自分が心を込めて書いた短冊が無くなっていて、よく見ると、辺りに細かくなった緑の紙切れが落ちていることに気づき更にショックを受けた。
その後、甲板で剣士とコックの大喧嘩が繰り広げられたのは必然というものだろう。
夜。
もし晴れていたら天の川が見渡す事ができたらしいが、相変わらず天気は曇りだった。がっかりするチョッパーのために、甲板で七夕宴会と相成ったのだが。
「ん?」
ワインを飲んでいたナミがふと顔を上げた。
「どうしたんだい?ナミさん」
「……風の匂いが変わった」
じっと空を見上げていたナミの顔が、突然綻んだ。
「チョッパー!」
「なんだナミ?」
ルフィとウソップと、踊りまくってはしゃぎまくっていたチョッパーが、ナミに呼ばれて飛んできた。
「空を見てて」
ナミの言葉に、チョッパーだけでなく、サンジも、ロビンも、ゾロもルフィもウソップも、ぼんやりと曇った夜空を見上げた。
「もうちょっと。いくわよ、3、2、1……!!」
「うわあ……!!」
チョッパーが簡単の声を上げた。
雲間から、月の光が差し込む。夜空を覆っていた雲が晴れ、無数の星達が姿を現した。
それこそ、宝石箱をひっくり返したかのように。
「天の川だー!!」
「こりゃすげェ……!」
「キレイ……」
満点の星が集まり、寄り添い、大きな川のような流れを作っている。空から零れ落ちてきそうだ。
「こんなキレイに天の川が見えたの初めてだー!」
ウソップがほらをふくことも忘れ、感嘆の声を上げた。
チョッパーが、隣に立つサンジをきらきらした目で見上げた。
「これなら、織姫と彦星はきっと無事に会えるな!!」
サンジがタバコの煙を吐き出し、笑った。
「……そうだな」
「よーし!!天の川キレイだな記念パーティーだー!!」
船長が騒ぎ出し、ナミに「あんたパーティーできたらなんでもいいんでしょ」と言われ、「失敬だなお前!」とちょっと怒った。
で、みんなで楽しく宴会した。
みかん畑では笹がさやさやと揺れている。
空から星達が、優しく見守る海の上。
七夕が終わっちゃったけど、楽しみにしている事がある。
短冊に書いたオレの願いはいつ叶うんだろう。
本当に叶うっていう事は、オレはもう知ってるんだ!
だって、ルフィの『肉食い放題』の願いは七夕の夜に叶ってしまった。サンジが、ルフィの為にいっぱいいっぱい肉を焼いてやったんだ。勿論オレも食べた。サンジの料理は最高だ!
そして内緒なのだけれど。
ゾロの願いも叶ったんだ。オレは笹の飾り付けをしていたから、ゾロの願い事を知ってたんだ。
宴会が終わって、ナミたちが部屋に行っちゃってオレ達は甲板で寝てて。
サンジがひとりひとりに毛布を持って来てくれた。
その時オレ、ほんとは起きてて、こっそり見ちゃったんだ。
サンジが寝てるゾロに毛布をかけてあげる時、そおっとキスするのを。
だからオレ、嬉しくなって毛布の中でこっそり笑った。
良かったね、ゾロ。
オレの願いも、他のみんなの願いも、早く叶いますように。
お星様、お星様。
おわり。
チョッパーが楽しそうに鼻歌を歌いながら、笹に短冊をつけている。
みかん畑に急遽出現した竹は、先日寄港した夏島で手に入れた物だった。7月中行われるという七夕祭りの真っ最中だったその島は、至る所に笹が飾られ色とりどりの短冊が揺れていた。
「笹に願い事を書いた短冊を飾ると、その願いが叶うんだぞ!」
クルー達にお手製の短冊を配りながらチョッパーが少し嬉しそうに言った。織姫様と彦星が願い事を叶えてくれるんだって。欲張ってたくさんお願いすると怒られるかもしれないからな、はい、ひとり一枚ずつ。
皆七夕の風習は知っていたし、飾ったところでどうなるものでもないということは分かっていたが、今までドラムしか知らずに育ち、他の島の風習に好奇心一杯の純粋な船医の為に、一筆認めたのであった。
これで空が晴れていればもっといいのだが、今日はうす曇。それでもチョッパーはご機嫌だった。
笹を飾りつけるなんて、クリスマスみたいだ!七夕は夏のクリスマスだ!
さわさわと、潮風で揺れる笹をチョッパーが満足げに見上げている所へ、サンジがチョッパーのオレンジジュースを持ってみかん畑に上がってきた。
「おう、すげェじゃねェかチョッパー」
「サンジ!笹、キレイになっただろー?ウソップが飾りを作ってくれたんだ!」
チョッパーがエッエッエッと笑う。
「短冊はオレが最後か?どれどれみんななんて書いたんだ?」
「あ、見るなよーサンジー!!」
止めようとするチョッパーをニヤニヤしながら軽く押さえ、サンジはまず目の前にあった短冊を手に取った。
『どんな病気でも治せる医者になれますように』
「もうっ!勝手に見るなよ!」
ちょっと赤くなって怒るチョッパーだったが、
「おー、こりゃいいお願いだ。きっと織姫様は叶えてくれる」
「そんなこと言われても嬉しくないぞこのヤロー!」
嬉しそうに踊っている。
サンジはそんなチョッパーにオレンジジュースを渡すと、早速咥えタバコでニヤニヤしながら他の短冊も検分し始めた。
ちょっと高い所にかけてあるオレンジ色の短冊。
『お金vv』
「うう~んvv現実的且つ堅実なナミさんがステキだ~vv」
なんだかやけにキラキラした飾りがついている短冊。
『勇敢な海の戦士になる!!』
「てめェは鼻が短くなるようにお願いした方がいいぞ長っ鼻」
薄紫色が艶やかな短冊。
『f;@p][ljdmj/\].[/hv\nVg[\.ds』
「…………………達筆すぎて読めないよロビンちゃ~んvvステキだ~~vv」
そして、やけにでかでかとした、赤い短冊。
「読まなくても分かるな。“海賊王に、オレはなる!!”だろ?」
裏返った短冊を、ひょいと戻して読む。
ルフィらしく、大きな字で紙一杯に。
『肉食い放題!!』
「……………」
そしてサンジは、やけに高い場所に飾ってある緑の短冊に目を留めた。チョッパーが気づいて声をかけてきた。
「ゾロの短冊だけは、オレじゃなくてゾロが自分でつけたんだ。一番高い所に飾るんだって」
「クソ剣士め、やけに本気じゃねェか……。あいつも大剣豪になりたいなんてお星様にお願いするタマじゃねェな。ルフィが“肉食い放題”なら……“酒飲み放題”ってとこか!」
サンジは軽くジャンプしてゾロの短冊を素早く取ると、ワクワクしながら覗き見た。
そこには、それはそれは立派な太い字で。
『コックの方からキスし』
皆まで読まずにサンジはゾロの短冊をマッハで破り捨てた。
そして紙くずとなった短冊を、海へと散らす。
さよならゾロのお願い事。
数十分後。
誰も居ないみかん畑にゾロがこそこそとやって来た。
「コックの野郎、なんて書きやがったんだ……?」
目の前でひらひら踊る短冊を、一枚一枚コックの字で書かれたものを探す。他のヤツらのお願い事なんてはっきり言ってどうでもいい。想像もつくし。
コックの短冊には、もしかしたら自分のことが書かれているかもしれない。だって自分もコックとのことをお願いしたのだから。
あいつは心配性だから、『ゾロが酒を呑みすぎて体を壊しませんように』とか書いているかもしれない。全く可愛いヤツだ。
『ゾロが大剣豪になりますように』なんて書かれてあったら、コックの肩を抱き寄せて「バカ野郎、星になんて願わなくても、オレァ大剣豪になる。信じろ」そう言ってやるつもりだ。そうすれば、コックは頬を赤らめてキスをしてくれる。自分の願いも叶うって寸法だ!!うわはははは!!
内心ひとりで盛り上がりながら、ゾロは青い短冊を手にした。
にこにこしながら短冊を覗き見る。
書かれていた願いは。
『ルフィが盗み食いを止めますように』
「……………ルフィかよ!!!」
全身全霊をかけてつっこんだ。
ショックを受けたゾロは、自分が心を込めて書いた短冊が無くなっていて、よく見ると、辺りに細かくなった緑の紙切れが落ちていることに気づき更にショックを受けた。
その後、甲板で剣士とコックの大喧嘩が繰り広げられたのは必然というものだろう。
夜。
もし晴れていたら天の川が見渡す事ができたらしいが、相変わらず天気は曇りだった。がっかりするチョッパーのために、甲板で七夕宴会と相成ったのだが。
「ん?」
ワインを飲んでいたナミがふと顔を上げた。
「どうしたんだい?ナミさん」
「……風の匂いが変わった」
じっと空を見上げていたナミの顔が、突然綻んだ。
「チョッパー!」
「なんだナミ?」
ルフィとウソップと、踊りまくってはしゃぎまくっていたチョッパーが、ナミに呼ばれて飛んできた。
「空を見てて」
ナミの言葉に、チョッパーだけでなく、サンジも、ロビンも、ゾロもルフィもウソップも、ぼんやりと曇った夜空を見上げた。
「もうちょっと。いくわよ、3、2、1……!!」
「うわあ……!!」
チョッパーが簡単の声を上げた。
雲間から、月の光が差し込む。夜空を覆っていた雲が晴れ、無数の星達が姿を現した。
それこそ、宝石箱をひっくり返したかのように。
「天の川だー!!」
「こりゃすげェ……!」
「キレイ……」
満点の星が集まり、寄り添い、大きな川のような流れを作っている。空から零れ落ちてきそうだ。
「こんなキレイに天の川が見えたの初めてだー!」
ウソップがほらをふくことも忘れ、感嘆の声を上げた。
チョッパーが、隣に立つサンジをきらきらした目で見上げた。
「これなら、織姫と彦星はきっと無事に会えるな!!」
サンジがタバコの煙を吐き出し、笑った。
「……そうだな」
「よーし!!天の川キレイだな記念パーティーだー!!」
船長が騒ぎ出し、ナミに「あんたパーティーできたらなんでもいいんでしょ」と言われ、「失敬だなお前!」とちょっと怒った。
で、みんなで楽しく宴会した。
みかん畑では笹がさやさやと揺れている。
空から星達が、優しく見守る海の上。
七夕が終わっちゃったけど、楽しみにしている事がある。
短冊に書いたオレの願いはいつ叶うんだろう。
本当に叶うっていう事は、オレはもう知ってるんだ!
だって、ルフィの『肉食い放題』の願いは七夕の夜に叶ってしまった。サンジが、ルフィの為にいっぱいいっぱい肉を焼いてやったんだ。勿論オレも食べた。サンジの料理は最高だ!
そして内緒なのだけれど。
ゾロの願いも叶ったんだ。オレは笹の飾り付けをしていたから、ゾロの願い事を知ってたんだ。
宴会が終わって、ナミたちが部屋に行っちゃってオレ達は甲板で寝てて。
サンジがひとりひとりに毛布を持って来てくれた。
その時オレ、ほんとは起きてて、こっそり見ちゃったんだ。
サンジが寝てるゾロに毛布をかけてあげる時、そおっとキスするのを。
だからオレ、嬉しくなって毛布の中でこっそり笑った。
良かったね、ゾロ。
オレの願いも、他のみんなの願いも、早く叶いますように。
お星様、お星様。
おわり。
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プロフィール
名前:
ノダ ワアヤ
性別:
女性
趣味:
趣味はサンジ!
自己紹介:
2次創作サイトの管理人の日記です。
間違って来られた方はどうぞお逃げになって!!
「ゾロサン」とか「ゾロサン」とか、聞きなれない単語が飛び交ってますよ!!
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