和の世界は終わる日記
サンジスキーの管理人、ゾロの扱いが酷くてすみません。 読者様参加型小ネタやってます。カテゴリ「参加型小ネタ」よりどうぞ。
彼女の香り
- 2005/07/03 (Sun) |
- 小ネタ |
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背中に当たる柔らかく温かい感触に、サンジは言いかけた言葉を一瞬にして失ってしまった。驚いて振り返ろうとするも、強い力でしがみつかれる。
「ナミさ……ん?」
声をかけてもナミは動かない。
じっと、サンジの背中に抱きついている。
今日はGM号の裏船長、というより裏番長、サンジの女神、ナミの誕生日だ。
朝から皆に祝福され、ナミはありがとうありがとう、プレゼントは現金で宜しくなんていつものナミ風を吹かせていた。
「うおおおお!!!野郎共!!今日の夕メシは未だかつてないスペッッシャルディナーパーティーだ!!気合を入れてナミさんvvを祝いやがれわかったかこのクソ野郎共!!じゃないとメシは食わせねェ~~!!!」
いつも以上にハイテンションなサンジに、ご馳走に対する期待が否が応でも膨らみ、釣られた年少トリオがこれまたうおおおおおとハイテンションに叫ぶ。
ちょっと異様だった。
昼食後、サンジは早速キッチンに篭った。ラウンジの扉には、“レディ以外入ったら殺す”と書かれた紙が貼られた。
サンジは、何日も前から考えていたレシピを、ノートを広げ確認、頭の中で手順をシュミレーションしてからタバコを消し、下ごしらえしておいた物を取り出し始めた。
調理開始。集中して作業を進めて行く。
その時、ラウンジの扉がとんとんと可愛らしい音で叩かれた。
「サンジ君、ちょっといーい?アイスティー貰いに来たの~」
「ああ~んvvナミすわんvv」
サンジは握っていた包丁を置くとすっ飛んで行き、仰仰しく扉を開いた。
「ごめんね邪魔しちゃって」
「何言ってんのナミさ~んvv今すぐアイスティー淹れるよ!ロビンちゃんの分も作るね!」
「自分でやるわよ」
「いいから!今日のナミさんはお姫様なんだから!オレにとっちゃいつもお姫様だけどね~~」
調子のいい事を言いながらさくさくとアイスティーを淹れる準備をするサンジに、ナミはふふふと笑った。が、次の瞬間、ふと鼻腔を掠めた匂いに、ふと眉を顰めた。
「サンジ君……」
「はーいvv」
「この匂い……タバコ?」
「え?」
「タバコの匂い?」
「え、あ!ゴメン気になる!?」
慌ててサンジは丸窓を開けた。
「締め切ってたんで匂い篭っちまってたかな!?ゴメンねナミさん、さっきまでレシピ見てて……」
「ううん、そうじゃないの。いつもと匂いが違うから」
ああ、と彼女の言いたいことが分かったサンジは、この間上陸した時のことをナミに話した。
「あの時、ルフィが海軍に見つかってバタバタしちまったじゃねェ?オレが丁度タバコ屋に居る時にルフィが表を走って逃げてるのが見えたもんだから慌てちまって、おばちゃんそのタバコ2カートン!急いでくれ!なんてろくろく商品見ないで買っちまったんだよ~。落ち着いてから見たらいつものと違うタバコでさ。まあしょうがねェ、買っちまったもんは吸わねェと、と思ったんだけど……。でも匂いの違いがわかるなんてすげェなあ」
ここでポットが音を立て、サンジは火を止めた。
「ナミさん、オレンジペコでいい……、!!?」
ポットを、取り落とすかと思った。
「ナ、ナミさん!?」
驚いた。背中に、温かい感触。
慌てて振り向こうとするが、ナミがしがみついているので動けない。なんとか首だけ捻ってみた。
「ナミさん……?」
オレンジ色の髪が間近に見える。腰に回された腕がぎゅっと強くなり、サンジは少し焦った。
ナミさんダメだ、こんな真昼間から、他のヤツらも居るのに~~vv
と一瞬思わないでもなかったが、そういうことじゃないことくらい、直ぐ分かった。
「ナ」
「喋っちゃダメ」
くぐもったナミの声が、サンジを制止した。
「ちょっとだけ。ちょっとだけこうさせて」
「…………」
ナミの体が、少し震えている。
サンジは黙って前に向き直ると、胸ポケットのタバコを取り出し火をつけ、ふうっと長い息で煙を吐き出した。
そうして、一生懸命自分を抱きしめているナミの腕をそっとさすり、ポンポンと優しく叩いた。
ありったけの愛しさを込めて。
背中が、じんわりと濡れる。
女神の涙は温かかった。
漸く体を離したナミは、サンジに渡してもらったタオルで顔を拭き鼻をかみ、ちょっと鼻の頭を赤くして照れた様に笑った。
「ごめんねサンジ君、びっくりしたでしょ」
「いやーvvナミさんに抱きついて貰えるなんて大・歓迎~~vvささ、愛の抱擁をもう一度~vv」
いつもの用にハートを飛ばし迫ってくるサンジにこれまたいつものように鉄拳を落とし、今度こそナミはいつもの顔で笑った。
「さー!すっきりしたことだし、サンジ君はちゃっちゃとアイスティーを淹れるー!!」
「容赦のないナミさんもステキだーvv」
クリームダウンしないように適温で作られたアイスティーをお盆に載せ、ナミと一緒にラウンジを出ようとしたサンジをナミは止め、お盆を取り上げた。
「私が持って行くわ。サンジ君は私の為に、美味しいご飯作ってくれるんでしょう?」
「勿論です。ナミさんへの愛に懸けて、オレのコック生命に懸けて」
「サンジ君大袈裟!」
「そーんなことないよナミさ~んvv好きだ好きだ大好きだ~~vv」
「はいはい。あ、そうだサンジ君、さっきの……タバコ。1本貰える?それとライター貸して欲しいの」
意外な申し出にサンジは一瞬目を見開いたが、すぐに笑みを浮かべると、はいどうぞ、とタバコ1本とライターをナミの手に渡した。
「ありがとう」
「そんなもので良かったらいつでも。ねえナミさん」
「ん?」
「お誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう」
見つめてくるサンジの青い目はどこまでも優しい。
また、涙が溢れそうになって、慌ててナミはぷいっとそっぽを向いた。
「もー、それ朝から何回も聞いたってば!おばあちゃんになった気になるからあんまり言わないで!」
「ははは」
穏やかに笑うサンジがいつもより大人びて見える。なんだか悔しくなって、ナミはテーブルの上にお盆を載せると、つかつかとサンジに近づき正面から抱きついた。そして彼の頬にキスをひとつ。
サンジが固まる。
その顔を満足そうに見て、再びお盆を取り上げるとナミはラウンジを出た。
と思わせておいてひょいと顔を覗かせる。
「私も大好きよサンジ君。私達のお母さん」
ナミのスカートがひらりと翻り、消えた。扉が音を立てて閉まる。
サンジは暫く、キスされたほっぺたを手で押さえたまま呆然としていたが。
「な、ナミさん、お母さんて、それあんまり嬉しくねェ……」
真っ赤な顔で情けなくぐる眉を下げ、それから笑った。
ロビンにアイスティーを渡し、男連中に「勝手に飲みなさいよー」と声をかけ、ナミは自分用のグラスを持ってみかん畑に上がった。
見上げれば晴れ渡る空。みかんがつやつやと美しく輝いている。
サンジに貸して貰ったライターでタバコに火をつけると、一口だけ吸い込み、ふうっと煙を吐いた。
「……小さい子供が二人も居るのにチェーンスモーカーだなんて、とんでもないお母さんだわよ、ベルメールさん」
流れて行く煙を見ながら笑った。
そしてみかん畑の土を少し掘り、火をつけたタバコが立つように埋めた。
捨て子だったナミの誕生日は、ベルメールさんが決めたそうだ。
ナミだから7月3日でいいじゃない?と。
経緯を聞いた子供の頃は、その安易な考えに憤慨したものだが。
誕生日は日付が大事なんじゃない。
生きて居ることが、そして生きて居ることを誰かに喜んで貰えることが素晴らしい。
「……んだ、それ、線香のつもりか?」
いきなり低い声をかけられ、ナミは飛び上がった。
生い茂る葉で見えなかったが、木の間からゾロが寝転がったままこちらを見ていた。
「何よあんた!そんなとこで寝てたの!?ビックリさせないでよ!!」
「それ、あいつのと匂いが違うな」
……ほんとサンジ君のこととなると敏感なんだから。
やれやれと首をすくめながらも、律儀に答えてやる。
「買い間違えたんだって。ね、なんなの?そのセンコーって」
寝起きのぼんやりとした目をしながらゾロは言った。
「オレの故郷では、仏さんやご先祖さんの前で線香を焚くんだ」
「……あんた神様信じないんでしょ」
「仏さんやご先祖さんだ。いつも見守ってくれてありがとうって感謝すんだとよ」
かなり適当な感じに言っているのは間違いないが、その言葉はナミの胸にすとんと響いてきた。
いつも見守ってくれてありがとう。
「……サンジ君ね、私のこと大好きだって。だから私も言ったの、大好きよーって」
ビシ、とゾロの米神に血管が浮いた。だが、むっつりしたまま何も言わない。
「怒んないの?」
「てめェの誕生日だからな。大目に見てやる」
ナミは吹き出した。
「そんな不満そうな顔で、何が大目に見てやるよ偉そうに!!早く行かないと、サンジ君が作ってくれたアイスティー、飲まれちゃうわよ」
そう言ってやると、ゾロは慌てて起き上がり、がちゃがちゃと刀を鳴らして降りて行った。
ふふん、もう絶対ないわよ。
内心ニヤニヤしつつ、自分もタバコのお陰でちょっと喉がおかしくなってしまったのでおかわりが欲しいな、と思った。
しょうがない。“入ったら殺す”と書かれた紙が貼ってあるドアを無骨剣士が無遠慮に開け、『おい、茶』と言ってコックさんと大喧嘩になる前に、私がおかわり作ってもらってやるか!3000ベリーでね。
勢いよくナミは立ち上がる。
懐かしい彼女の香りが、優しくナミを撫で、消えて行った。
ハッピーバースデイナミさん!!!
実はこのお話はサイトを開設する前からずっと書きたかったお話です。
3日に間に合わせたかったので日記にあげましたが、後日文章としてアップし直しますね。
あれだけ重い過去を背負っていながら、いつも明るく、したたかで計算深く、強くて可愛くて優しくて頭のいいナミさんが大好きです!!
こんな話を書いてますが、私自身はタバコの煙が本当にダメです……(汗)
本日の更新。
拍手絵変更5000打と6000打のお礼絵です。サンちゃん登場~vv
ステキサイト様2件お迎えいたしました!!
escp.jp様
もうずっとファンだったのですよーvvゾロサンは休止されてましたが、作品は拝見する事ができましたのでリンク!リンク!と思っていたら休止解除!!嬉しいです~!!ゴッド・suzuー!!(平伏)他ジャンルも扱っておられまして、コンテンツが盛りだくさんでステキです!!文書力は勿論、ゴッド・suzuの笑いのセンスを分けて欲しいです……。あ、なぜ私がゴッド・suzuとお呼びしているのかは、escp.jp様のsim日記をご覧になって下さい!!
Interactive Love様vv
プチ引きこもりの和には絶対書けない、ステキ設定のパラレルがー!!海賊もたくさんあるではないですか!!静かに、色っぽい二人のやりとりにどきどきしますよ!!サイトのデザインも大人っぽくてかっこいいのです!!
拍手お礼vv
押してくださった方ありがとうございました!
Hらさんvv
うわーんHらさん!!気づいて下さってありがとうございます!!
バトン受け取ってくれて嬉しいです~~vvいきなりすいませんでした!!
5人って難しいですよね……。3人でも私には難しいですが……(倒)
あとで日記拝見しに行きますvv
ゾロサン暦大先輩のASR(笑)さんvv
ご飯党~vvご飯美味しいですよねvv
音楽について語り出したらあんなに長くなってしまいました……(汗)好きな物に対しては物ッ凄い語りたがり(笑)バトンには書いてませんが、最近ジャンヌダ○クもちょこっと聞いたんですよー!凄く好きな感じだと思うので、ちゃんと聞きたいなあ~。
まだゴッド・suzuにはまだご挨拶していないので、後ほどこそこそ行って来たいと思います!!
ナミさんより先にリクを終わらせたかったのに遅くてごめんなさい~(涙)
「ナミさ……ん?」
声をかけてもナミは動かない。
じっと、サンジの背中に抱きついている。
今日はGM号の裏船長、というより裏番長、サンジの女神、ナミの誕生日だ。
朝から皆に祝福され、ナミはありがとうありがとう、プレゼントは現金で宜しくなんていつものナミ風を吹かせていた。
「うおおおお!!!野郎共!!今日の夕メシは未だかつてないスペッッシャルディナーパーティーだ!!気合を入れてナミさんvvを祝いやがれわかったかこのクソ野郎共!!じゃないとメシは食わせねェ~~!!!」
いつも以上にハイテンションなサンジに、ご馳走に対する期待が否が応でも膨らみ、釣られた年少トリオがこれまたうおおおおおとハイテンションに叫ぶ。
ちょっと異様だった。
昼食後、サンジは早速キッチンに篭った。ラウンジの扉には、“レディ以外入ったら殺す”と書かれた紙が貼られた。
サンジは、何日も前から考えていたレシピを、ノートを広げ確認、頭の中で手順をシュミレーションしてからタバコを消し、下ごしらえしておいた物を取り出し始めた。
調理開始。集中して作業を進めて行く。
その時、ラウンジの扉がとんとんと可愛らしい音で叩かれた。
「サンジ君、ちょっといーい?アイスティー貰いに来たの~」
「ああ~んvvナミすわんvv」
サンジは握っていた包丁を置くとすっ飛んで行き、仰仰しく扉を開いた。
「ごめんね邪魔しちゃって」
「何言ってんのナミさ~んvv今すぐアイスティー淹れるよ!ロビンちゃんの分も作るね!」
「自分でやるわよ」
「いいから!今日のナミさんはお姫様なんだから!オレにとっちゃいつもお姫様だけどね~~」
調子のいい事を言いながらさくさくとアイスティーを淹れる準備をするサンジに、ナミはふふふと笑った。が、次の瞬間、ふと鼻腔を掠めた匂いに、ふと眉を顰めた。
「サンジ君……」
「はーいvv」
「この匂い……タバコ?」
「え?」
「タバコの匂い?」
「え、あ!ゴメン気になる!?」
慌ててサンジは丸窓を開けた。
「締め切ってたんで匂い篭っちまってたかな!?ゴメンねナミさん、さっきまでレシピ見てて……」
「ううん、そうじゃないの。いつもと匂いが違うから」
ああ、と彼女の言いたいことが分かったサンジは、この間上陸した時のことをナミに話した。
「あの時、ルフィが海軍に見つかってバタバタしちまったじゃねェ?オレが丁度タバコ屋に居る時にルフィが表を走って逃げてるのが見えたもんだから慌てちまって、おばちゃんそのタバコ2カートン!急いでくれ!なんてろくろく商品見ないで買っちまったんだよ~。落ち着いてから見たらいつものと違うタバコでさ。まあしょうがねェ、買っちまったもんは吸わねェと、と思ったんだけど……。でも匂いの違いがわかるなんてすげェなあ」
ここでポットが音を立て、サンジは火を止めた。
「ナミさん、オレンジペコでいい……、!!?」
ポットを、取り落とすかと思った。
「ナ、ナミさん!?」
驚いた。背中に、温かい感触。
慌てて振り向こうとするが、ナミがしがみついているので動けない。なんとか首だけ捻ってみた。
「ナミさん……?」
オレンジ色の髪が間近に見える。腰に回された腕がぎゅっと強くなり、サンジは少し焦った。
ナミさんダメだ、こんな真昼間から、他のヤツらも居るのに~~vv
と一瞬思わないでもなかったが、そういうことじゃないことくらい、直ぐ分かった。
「ナ」
「喋っちゃダメ」
くぐもったナミの声が、サンジを制止した。
「ちょっとだけ。ちょっとだけこうさせて」
「…………」
ナミの体が、少し震えている。
サンジは黙って前に向き直ると、胸ポケットのタバコを取り出し火をつけ、ふうっと長い息で煙を吐き出した。
そうして、一生懸命自分を抱きしめているナミの腕をそっとさすり、ポンポンと優しく叩いた。
ありったけの愛しさを込めて。
背中が、じんわりと濡れる。
女神の涙は温かかった。
漸く体を離したナミは、サンジに渡してもらったタオルで顔を拭き鼻をかみ、ちょっと鼻の頭を赤くして照れた様に笑った。
「ごめんねサンジ君、びっくりしたでしょ」
「いやーvvナミさんに抱きついて貰えるなんて大・歓迎~~vvささ、愛の抱擁をもう一度~vv」
いつもの用にハートを飛ばし迫ってくるサンジにこれまたいつものように鉄拳を落とし、今度こそナミはいつもの顔で笑った。
「さー!すっきりしたことだし、サンジ君はちゃっちゃとアイスティーを淹れるー!!」
「容赦のないナミさんもステキだーvv」
クリームダウンしないように適温で作られたアイスティーをお盆に載せ、ナミと一緒にラウンジを出ようとしたサンジをナミは止め、お盆を取り上げた。
「私が持って行くわ。サンジ君は私の為に、美味しいご飯作ってくれるんでしょう?」
「勿論です。ナミさんへの愛に懸けて、オレのコック生命に懸けて」
「サンジ君大袈裟!」
「そーんなことないよナミさ~んvv好きだ好きだ大好きだ~~vv」
「はいはい。あ、そうだサンジ君、さっきの……タバコ。1本貰える?それとライター貸して欲しいの」
意外な申し出にサンジは一瞬目を見開いたが、すぐに笑みを浮かべると、はいどうぞ、とタバコ1本とライターをナミの手に渡した。
「ありがとう」
「そんなもので良かったらいつでも。ねえナミさん」
「ん?」
「お誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう」
見つめてくるサンジの青い目はどこまでも優しい。
また、涙が溢れそうになって、慌ててナミはぷいっとそっぽを向いた。
「もー、それ朝から何回も聞いたってば!おばあちゃんになった気になるからあんまり言わないで!」
「ははは」
穏やかに笑うサンジがいつもより大人びて見える。なんだか悔しくなって、ナミはテーブルの上にお盆を載せると、つかつかとサンジに近づき正面から抱きついた。そして彼の頬にキスをひとつ。
サンジが固まる。
その顔を満足そうに見て、再びお盆を取り上げるとナミはラウンジを出た。
と思わせておいてひょいと顔を覗かせる。
「私も大好きよサンジ君。私達のお母さん」
ナミのスカートがひらりと翻り、消えた。扉が音を立てて閉まる。
サンジは暫く、キスされたほっぺたを手で押さえたまま呆然としていたが。
「な、ナミさん、お母さんて、それあんまり嬉しくねェ……」
真っ赤な顔で情けなくぐる眉を下げ、それから笑った。
ロビンにアイスティーを渡し、男連中に「勝手に飲みなさいよー」と声をかけ、ナミは自分用のグラスを持ってみかん畑に上がった。
見上げれば晴れ渡る空。みかんがつやつやと美しく輝いている。
サンジに貸して貰ったライターでタバコに火をつけると、一口だけ吸い込み、ふうっと煙を吐いた。
「……小さい子供が二人も居るのにチェーンスモーカーだなんて、とんでもないお母さんだわよ、ベルメールさん」
流れて行く煙を見ながら笑った。
そしてみかん畑の土を少し掘り、火をつけたタバコが立つように埋めた。
捨て子だったナミの誕生日は、ベルメールさんが決めたそうだ。
ナミだから7月3日でいいじゃない?と。
経緯を聞いた子供の頃は、その安易な考えに憤慨したものだが。
誕生日は日付が大事なんじゃない。
生きて居ることが、そして生きて居ることを誰かに喜んで貰えることが素晴らしい。
「……んだ、それ、線香のつもりか?」
いきなり低い声をかけられ、ナミは飛び上がった。
生い茂る葉で見えなかったが、木の間からゾロが寝転がったままこちらを見ていた。
「何よあんた!そんなとこで寝てたの!?ビックリさせないでよ!!」
「それ、あいつのと匂いが違うな」
……ほんとサンジ君のこととなると敏感なんだから。
やれやれと首をすくめながらも、律儀に答えてやる。
「買い間違えたんだって。ね、なんなの?そのセンコーって」
寝起きのぼんやりとした目をしながらゾロは言った。
「オレの故郷では、仏さんやご先祖さんの前で線香を焚くんだ」
「……あんた神様信じないんでしょ」
「仏さんやご先祖さんだ。いつも見守ってくれてありがとうって感謝すんだとよ」
かなり適当な感じに言っているのは間違いないが、その言葉はナミの胸にすとんと響いてきた。
いつも見守ってくれてありがとう。
「……サンジ君ね、私のこと大好きだって。だから私も言ったの、大好きよーって」
ビシ、とゾロの米神に血管が浮いた。だが、むっつりしたまま何も言わない。
「怒んないの?」
「てめェの誕生日だからな。大目に見てやる」
ナミは吹き出した。
「そんな不満そうな顔で、何が大目に見てやるよ偉そうに!!早く行かないと、サンジ君が作ってくれたアイスティー、飲まれちゃうわよ」
そう言ってやると、ゾロは慌てて起き上がり、がちゃがちゃと刀を鳴らして降りて行った。
ふふん、もう絶対ないわよ。
内心ニヤニヤしつつ、自分もタバコのお陰でちょっと喉がおかしくなってしまったのでおかわりが欲しいな、と思った。
しょうがない。“入ったら殺す”と書かれた紙が貼ってあるドアを無骨剣士が無遠慮に開け、『おい、茶』と言ってコックさんと大喧嘩になる前に、私がおかわり作ってもらってやるか!3000ベリーでね。
勢いよくナミは立ち上がる。
懐かしい彼女の香りが、優しくナミを撫で、消えて行った。
ハッピーバースデイナミさん!!!
実はこのお話はサイトを開設する前からずっと書きたかったお話です。
3日に間に合わせたかったので日記にあげましたが、後日文章としてアップし直しますね。
あれだけ重い過去を背負っていながら、いつも明るく、したたかで計算深く、強くて可愛くて優しくて頭のいいナミさんが大好きです!!
こんな話を書いてますが、私自身はタバコの煙が本当にダメです……(汗)
本日の更新。
拍手絵変更5000打と6000打のお礼絵です。サンちゃん登場~vv
ステキサイト様2件お迎えいたしました!!
escp.jp様
もうずっとファンだったのですよーvvゾロサンは休止されてましたが、作品は拝見する事ができましたのでリンク!リンク!と思っていたら休止解除!!嬉しいです~!!ゴッド・suzuー!!(平伏)他ジャンルも扱っておられまして、コンテンツが盛りだくさんでステキです!!文書力は勿論、ゴッド・suzuの笑いのセンスを分けて欲しいです……。あ、なぜ私がゴッド・suzuとお呼びしているのかは、escp.jp様のsim日記をご覧になって下さい!!
Interactive Love様vv
プチ引きこもりの和には絶対書けない、ステキ設定のパラレルがー!!海賊もたくさんあるではないですか!!静かに、色っぽい二人のやりとりにどきどきしますよ!!サイトのデザインも大人っぽくてかっこいいのです!!
拍手お礼vv
押してくださった方ありがとうございました!
Hらさんvv
うわーんHらさん!!気づいて下さってありがとうございます!!
バトン受け取ってくれて嬉しいです~~vvいきなりすいませんでした!!
5人って難しいですよね……。3人でも私には難しいですが……(倒)
あとで日記拝見しに行きますvv
ゾロサン暦大先輩のASR(笑)さんvv
ご飯党~vvご飯美味しいですよねvv
音楽について語り出したらあんなに長くなってしまいました……(汗)好きな物に対しては物ッ凄い語りたがり(笑)バトンには書いてませんが、最近ジャンヌダ○クもちょこっと聞いたんですよー!凄く好きな感じだと思うので、ちゃんと聞きたいなあ~。
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プロフィール
名前:
ノダ ワアヤ
性別:
女性
趣味:
趣味はサンジ!
自己紹介:
2次創作サイトの管理人の日記です。
間違って来られた方はどうぞお逃げになって!!
「ゾロサン」とか「ゾロサン」とか、聞きなれない単語が飛び交ってますよ!!
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