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和の世界は終わる日記

サンジスキーの管理人、ゾロの扱いが酷くてすみません。 読者様参加型小ネタやってます。カテゴリ「参加型小ネタ」よりどうぞ。

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かわいい人2

 ゾロは、観察する気満々でサンジの後をついて行った。
 最初の方こそ「クソ剣士が気色悪ィ」等と言って少し離れた所から目を眇めてゾロを見ていたサンジだったが。
 市場についた途端、その青い目が輝いた。
 そうして、ゾロのことなんかほったらかしにして、近くにあった魚屋に突進して行く。
 これはいつものことだ。ゾロがぼんやりしている間に店に突進して行ったサンジを、うっそりと後を追うのだ。はぐれると「このクソ迷子剣士が!!」と3日以上ネタにされる。
 しかし、今日はサンジの様子を完璧に凝視していたため、その鮮やかな表情の変わり具合を目の当たりにし、ゾロは驚かされていた。
 目がキラキラしている。
 まるで光を受けた海のように。
 魚屋のおやじと旬の魚がどうとかこうとか話していたサンジは、おやじに試食してみるかいと言われて、呆然と見守るゾロの目の前で、にこおっと笑った。
 
 ゾロの胸が、きゅーんって鳴った。
 ……ん?

 八百屋では、お兄ちゃんのようなオトコマエに料理されるなんてうちの野菜は幸せもんだなんていうおばちゃんのリップサービスに、サンジが一瞬素に返って、照れたように笑った。

 きゅきゅーん。
 ……あ?

 タバコ屋では、若いねえちゃんが店番で、サンジはかっこつけて「釣りはいらねェマドモアゼル」なんて言ったのだけれど、出したお札を間違えていて足らなかった。噴き出すねえちゃんにサンジが真っ赤になってわたわたと謝る。そんな顔も初めて見た。いや、気づいたと言うべきか。
 
 きゅきゅきゅーーーん。
 …………あれ?


 港までの道すがら、タバコ屋での事に関して何もからかわないゾロを、拗ねたように唇を突き出して横目でちらりちらりと見てくる。
 きゅーん。
 この頃になると、自分の胸が有り得ない感じに鳴る事にゾロは疑問を持たなくなっていた。
 服屋のショーウインドウに飾られた女物の服を、お、ナミさんに似合いそうだ、こっちはロビンちゃんだ等と言ってキラキラした目で見るが、値段を見て「買えねェ……」とがっくり肩を落とす。それがひどく子供っぽい。
 きゅーん。
 その時、捨てられたのだろうか、子猫がにゃーんとサンジの足に擦り寄ってきた。子猫を抱き上げて、猫は好きだとサンジは笑った。
 きゅきゅーん。
 買って来たミルクを惜しげもなく開け子猫に与える。しゃがみこんだサンジの伏せられた睫毛が金色だ。美味しそうにミルクを舐める子猫の頭を撫でながら、お前かわいいなあなんて言って、柔らかく笑った。

 ゾロは心の中で、いや、かわいいのはお前だろ、とツッコんでいた。
 きゅーんったらきゅきゅーん。


 船に戻ったゾロは、一生懸命考えていた。
 どうにかこうにかあの顔を、自分にも向けさせることができないだろうかと。どこが可愛いんだなどと考えていた自分は、高くチョモランマ(仮名)辺りまで放り投げていた。
 慣れない考え事をしていたせいか、良い匂いがしてきたラウンジにいつの間にか入ってしまっていた。
 たちこめるのはゾロが好きな筑前煮の匂い。今日は他の皆は陸だ。船には二人きりなのだ。自分用のメシをサンジが作ってくれていると意識すると、柄にもなくゾロは赤くなった。
「おおクソ剣士。もうすぐメシだぞ手ェ洗え~」
 サンジは何故か機嫌が良い。鼻歌を歌いながら何かを混ぜている。
 ゾロは後ろからサンジの手元をひょいと覗き込んだ。
 しゃわしゃわと良い音を立てる油に、衣を着けたエビを丁寧に入れる。そうして、菜箸で衣を油に散らすと、なんと指を油に突っ込み、素手でエビを叩き衣を回しつけた。
 驚愕しているゾロをよそに、サンジは落ち着いた様子で次々とエビを引き上げる。散らされた衣が美しくエビの周りについており、見目麗しい天ぷらが出来上がっていた。同様に青葉や椎茸などもサンジの手によって美味しそうな天ぷらへと変わっていった。そうして手早く盛り付けられる。
「よし出来た。メシにすっぞ」
 とエプロンで手を拭うサンジに、
「熱くねェのか?」
と尋ねると。
「あ?さっきのか?指が油の熱さを感じる前に抜くんだよ」
と何てことないように言う。そうしてやっとゾロを見たサンジに、やや放心しながら
「……すげェな、お前」
 心のままにそう告げると、サンジは一瞬ぽかんとして、それからちょっと赤くなった。
 あ。
 きゅううううううん!!
 本日最大の胸のトキメキ音!!固まるゾロには気づかず、赤い顔のサンジはあわあわと両手を上げ下げした。
「な、何言ってんだお前!オレはプロなんだから当たり前だろ!?それより手は洗ったのか!?」
 ゲシリと蹴られ、慌てて手を洗う。先程のサンジの顔にちょっとドキドキしながら。
 二人だけの食卓には、色とりどり、美味しそうな料理が所狭しと並んでいた。
「いただきます」
 箸をとり手を合わせると、ゾロはまず揚げたての天ぷらを取り上げた。
 もみじおろしが添えられた天つゆにエビをくぐらせ、口に入れる。
 表面さくさく、中ふんわり。
 ゾロの心の中までほっこりと温かくなった。
 じんわりと涙まで出てきそうだった。
「美味ェなあ……」
 やっぱり心のままそう言うと。
 向かいに座ったサンジが、
 それはそれは嬉しそうに、
 ゾロに向かって、
 笑った。


 ジャーーーーン!!!
 ゾロの中で大音響で鳴り響いたシンバルの音は。
 恋の矢がささった、とも言う。


それからのゾロは早かった。
 いきなりサンジの手を掴み「好きだ」と叫んだ。
 蹴られた。
「てめェはかわいい」と言った。
 蹴られた。
 それでも懲りずに言い続けた。
 流石に皆の居ない時ではあったが、毎日毎日毎日「好きだ」「かわいい」を繰り返した。
 最初は真っ赤になって怒ってひたすらゾロを蹴り飛ばしていたサンジだったが。
 1ヶ月を過ぎる頃、泣きそうな顔になっていた。
 1ヵ月半を過ぎる頃、苦しそうな顔になっていた。
 しかし2ヶ月を越える頃、やっぱり泣きそうな顔で。
 それでもふんわりと笑って。
「……オレも」
 そう、言ってくれた。
 ああ、こいつはかわいいとかじゃねェとゾロは思った。
 愛しいんだ。



「かわいいよなあ、キモイけど」
「うん、キモかわいい??」
「ていうかカユイ!!気色悪い!!!」
 サンジは明日の仕込み、ゾロは風呂、年少組だけの本日の男部屋談議の話題はゾロだ。
 最近のゾロはなんだかおかしい。
 食事中にサンジの後姿を眺めながらニヤニヤしていたり。
 夕飯に出た最後の肉団子を、やけにムキになってルフィと取り合ったり。
 サンジに洗ってもらったシャツを着ながらニヤニヤしていたり。
 食料の詰まった重い箱をせっせせっせと運んでみたり。
 とにかくニヤニヤしていたり。
 強面仏頂面のゾロが笑う顔は、歳相応に見えてちょっとかわいい。爽やかでもある。
 だが、ニヤニヤしているとキモチワルイ。
 ナミなどは気味悪がってゾロに近づかない。
 一体ゾロに何があったんだ?
 うーんと3人が首をひねった時、男部屋のハッチがばたんと開いた。タオルで頭を拭きながら下りてきたのは噂の人、話題の中心ゾロだ。
「サンジかわいいよなあ!!」
「うん、かわいい!!」
「かわいいかわいい!!!」
 白々しく頭を寄せ合いながら不自然に大きい声で話す。入ってきたゾロがぎらりと目を光らせてこちらを見やるのに、先程の話が聞かれたのかと3人は冷や汗をだらだらと垂らした。ルフィの冷や汗はノリだったが。
「最近!!最近特にだ!!」
 君の事は話してませんよーーーと言うことをアピールしたくて、更にウソップが浪々と語る。
「最近のサンジはなんつーか、かわいいだけじゃなくて、目つきとか、こう……」
 そこまで言って、ウソップは戸惑った。これをなんと表現するか。ていうか言ってもいいものか。そのウソップの躊躇を、ルフィはあっさりと超えた。
「最近のサンジはエロイ!!」
「エロイサンジ!!」
 つられたようにチョッパーまで叫ぶ。
 そう、最近のサンジはやけに色っぽい。
 口が悪いのは相変わらずだが、纏っている雰囲気が丸くて優しいのだ。にこおっと笑っていたのが、ふんわりと、だが魅惑的に笑うようになったのだ。
 なんだ、そう思ってたのはオレだけじゃなかったのかと安堵したウソップも嬉しくなって叫ぶ。
「そうなんだ!!妙にエロくて色っぽいんだ!!目つきとか動作とか……!!?」
 身を斬られそうな殺気に、ウソップの体が横っ飛びに吹き飛ばされた。
 ルフィとチョッパーが殺気の発生源に慌てて振り返る。
 そこにはゾロが。
「オイてめェらよく聞け……」
 地を這うような低い声。
 なぜか抜刀までしている。


「オレのかわいいかわいいコックに絶対手ェ出すんじゃねェぞ!!!」


 ……なんでそんなことになっちゃってんの??
 年少組3人の顎が、がぼーんと外れた。


 おわり



なんで、私はいつも話を長く長く長くさせちゃうんだろう……。こんばんにゃ、和です。
メッセージは7000文字までですって日記にはじかれちゃったのでわけました。

小ネタのつもりだったのに、後半やけに真剣に書いてしまった……。
ていうかー、そもそもサンちゃんの可愛い所を語ろうとするからいけないんだよねw!!サンちゃんの可愛い所を語りつくそうと思ったら、修学旅行で枕付き合わせるぐらいでは足りないよ!!!


そんな私は今日も昼寝?であにわん半分見逃しました……(号泣)
黙ってろとか船長を助けるサンちゃんとか、すげェ楽しみにしてたのに……!!


探 さな い で 下さ い

ワア ヤ 


あ、そうそう(ひょっこりと顔を出す)
天ぷらをあげる描写が下手すぎて悲しいのですが、あれは和のバイト先のマスターの技です。凄いです。何度見ても驚愕します。私自身は天ぷら揚げるの物凄い下手です……。
マスターの天ぷら茶漬けが美味しすぎて泣いたことがある、和。
マスターには、食べることの楽しさ、大事さを教えてもらっていると思います……vv


拍手お礼vv
押してくださった方ありがとうございまいしたーー!!
Aさんvv
ううううすいません私が犯人(の内の一人)でした!!
スピードを落としていない状態でガードレールに接触したので、千切り取られる形で切れたみたいで……。
昨日、当然お店でその話が出て、お客さんの一人が嬉々として写真を撮りに行かれました。自分のHPに載せるって。や、やめてくれよー!!
マスターにアドレス教えてもらってこっそり見に行ったら、の、載ってました……(倒)
テレビで報道されるたびに良心の呵責が(笑)宇宙人の仕業じゃないよーー!!
それにしても本当に、亭主元気で留守がいい(笑)姉だけど(笑)お陰さまで近々更新できますよー!!(喜)写真素材どうしよう……。

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プロフィール

名前:
ノダ ワアヤ
性別:
女性
趣味:
趣味はサンジ!
自己紹介:
2次創作サイトの管理人の日記です。
間違って来られた方はどうぞお逃げになって!!
「ゾロサン」とか「ゾロサン」とか、聞きなれない単語が飛び交ってますよ!!
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